キングジョー

 

親父が農家を大ケガでやめて数年、公務員になり転勤族と化した。砂川→根室→札幌と転々とした。

 

根室には幼稚園直前から小学生1年生まで5年暮らした。

 

根室グランドホテルという、日本最東端のまあまあデカいホテルがあり、俺はその道路を挟んだ向かいの公宅に住んでいた。

 

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マップのバス停マークらへんに黄土色の消火栓があった。これを俺はキングジョーと呼んで毎日蹴りに行っていた。毎日というのは言葉通りで、マジで毎日蹴りに行っていた。

当時の俺はコイツをマジでキングジョーだと思っていた。ただの消火栓なんだけど。

 

親に聞くと、手のかからなかった息子の唯一の奇行だったらしく、何を言っても蹴りに行くし、雨の日も雪の日も止まらなかった。部屋の窓からその姿は見えたらしく、親は(俺の頭を)心配していた。

 

毎日消火栓を蹴るガキが居ると、流石に近所の人も認識をする。知らんババアに「今日はアレ蹴らないの?」と言われたことがある。

 

なんであんなに消火栓を蹴ることに執着していたのかよく分からないけど、3年半くらいは蹴っていたらしい。中学位の頃に根室に行った時、親に「蹴りに行く?」と言われた時は思春期なので恥ずかしかった。